父の遺言

中里智英子

2005年12月10日 19:34

といっても、つい2週間ほど前、沖縄に遊びに来ていたので、まだ元気。

そう、今回の沖縄の旅は、近い将来起こるであろう、
さまざまな事柄について、元気なうちに確認しておこう!
というのがひとつの目的。

前々から、「財産はないけど、借金も残さない」というのが父の遺言。
私には4つ離れた姉がいるのだが、
もし何か残したとしてもすべて2で割ること。
これは父の苦い経験から、遺言を残すのなら、
一人ずつではなく、三人(母と姉と私)の前で直接言いたい
という強い希望があり、ことあるごとに聞かされてきた。

そして、ここからが今回はじめて聞いたのだけど
「葬式は派手にしてほしい」とのこと。
父曰く「一生に一度のことだから」だそうだ。

60歳を前に、東京で営んでいた食料品店を閉め
自分が生まれ育った埼玉に引っ越したのだけど
そこのシルバー人材センターに登録し
ふすま張りの研修を受け、
75歳(あれ、76歳だったかな?)を過ぎた現在も
結構人気の職人として、声がかかっている(らしい。本人談)

そんなシルバー人材センターでは、
葬式は日常茶飯事のことらしく
会員たちも、いちいち参列しないというのが常となっているらしい。

なので、参列者が少ないことを気にしているのだとか(母親談)。

まぁ、結婚は一生に何度かあるかもしれないけど
葬式は、一生に一度しかないでしょ。
本人の希望とあらば、そうしましょ。ということになった。
ちなみに私は密葬を希望。

しかし、葬式以上に問題になったのが
入院したときのこと。
延命治療を望むか否か。

家族としては、一分でも長生きしてほしいと願うけど
本人が苦しんでいるのであれば、無理な延命治療は必要ないのでは。
そして、それを判断できるのは、
元気な今のうちの本人の意思確認ではないか
ということになったのだけど、結論が出ませんでした。

最後に父は、「こんな話ができるなんて幸せだ。とても有意義だった」と一言。
両親が健在の私は、幸せ者だ。

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